濃縮睡眠コラム

女性がいびきをかく原因は?自分でできる対策や治療法についても紹介

    女性のいびきは決して珍しいものではありませんが、恥ずかしさから誰にも相談できずに悩む方は多いでしょう。しかし、何もせずに改善される保証はないため、早めの対策が必要でしょう。

    そこで本記事では、女性がいびきをかく原因や対策について解説します。医療による治療法もあわせて紹介するので、いびきを改善したい方はぜひ参考にしてみてください。

    女性がいびきをかく原因

    女性のいびきには、次のような原因が挙げられます。

    • 疲れやストレス
    • 更年期による女性ホルモンの低下
    • 口呼吸・鼻詰まり
    • 肥満
    • 骨格
    • 加齢による舌筋の衰え
    • 睡眠時無呼吸症候群(SAS)などの病気
    • アデノイドや扁桃の肥大

    とくに病気が原因である場合は、自力でいびきを治すことは困難です。それぞれの原因について詳しく解説するので、自身に当てはまるものがあるか確認してみてください。

    疲れやストレス

    疲れやストレスが溜まると体を休ませようと筋肉が緩み、舌根沈下がおこりやすくなります。舌根が喉の奥に落ち込むと空気が通る気道が狭くなり、いびきが発生します。

    また、疲労を回復させるために体が酸素を多く取り込もうとして、無意識に口呼吸になるのも原因の1つです。

    更年期による女性ホルモンの低下

    いびきは50代以降の中年女性にもよくみられ、多くは女性ホルモンが低下する更年期が原因です。女性ホルモンには、鼻から喉頭までの上気道にある筋肉を収縮させる働きがあり、喉の開きを維持しています。

    しかし、更年期に女性ホルモンが低下すると、筋肉を収縮する働きも弱まって気道の開きが悪くなり、いびきをかきやすくなります。

    50代前後からいびきを指摘されるようになった方は、更年期が原因である可能性が高いでしょう。

    口呼吸・鼻詰まり

    寝ている間に口呼吸になると、舌根沈下をおこして気道が狭まりいびきにつながります。そのため、習慣や鼻詰まりで口呼吸をしている方は、いびきをかきやすいでしょう。

    肥満

    肥満になると首周りの脂肪が増え、いびきをかきやすくなります。起きている間は筋肉が首周りの脂肪を支えており、息苦しさを感じることはあまりありません。

    しかし、就寝時は筋肉が緩むため、支えられなくなった脂肪が気道を圧迫して、いびきをかきやすくなります。体重が増えてからいびきが気になり始めた場合は、肥満が原因である可能性が高いでしょう。

    骨格

    いびきの原因には、顎が小さい、歯並びが悪いなどの骨格が関係している場合もあります。元々顎が小さい方や、歯並びの悪さによって舌が奥に引っ込んでいる方は、舌根が喉の奥に落ち込みやすく、気道を圧迫しやすくなります。

    とくに、アジア人女性は顎が小さい傾向があるため、肥満が重なるとよりいびきをかきやすくなるでしょう。肥満ではないのに若い頃からいびきをかく方は、自身の骨格を確認してみてください。

    加齢による舌筋の衰え

    加齢による舌筋の衰えもいびきの原因の1つです。年齢を重ねると少しずつ舌筋が衰えて、就寝時に舌を支えられなくなります。すると、舌根が喉の奥に落ち込み気道を圧迫するため、いびきをかきやすくなります。

    睡眠時無呼吸症候群(SAS)などの病気

    いびきは、睡眠時無呼吸症候群(SAS)のような病気が原因で起こる可能性もあります。睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、就寝時に呼吸が弱くなったり、呼吸が止まったりする病気です。

    窒息死の心配はありませんが睡眠の質が低下し、日中に強い眠気や集中力の欠如があります。

    また、無呼吸を繰り返すと酸欠状態になり、高血圧や脳卒中のような病気を引き起こす可能性もあるため、はやめの治療が必要です。

    アデノイドや扁桃の肥大

    アデノイドとは鼻の奥と喉の間にあるリンパ組織のかたまりで、扁桃と同様に肥大すると気道が狭くなります。

    アデノイドと扁桃の肥大は、6〜7歳ごろをピークとする子ども特有の病気です。ピークをすぎると少しずつ小さくなりますが、ピーク時には呼吸障がいや睡眠障がいを引き起こし、治療が必要となる場合もあります。

    いびきのほかにも、鼻づまりや口呼吸の症状がみられる場合もあるため、子どもを注意深く観察し、長引く場合はクリニックを受診しましょう。

    自分でできるいびき対策

    生活習慣によって引き起こされるいびきであれば、次のような対策で改善が期待できます。

    • 横向きに寝る
    • 寝る前の飲酒を控える
    • 体重管理をする
    • 自分に合った枕を使う
    • 部屋の湿度を保つ
    • いびき防止グッズを活用する
    • 舌のトレーニング
    • いびきに効果のあるツボを押す
    • 禁煙する

    それぞれの対策について詳しく解説するので、いびきを改善したい方はぜひ参考にしてみてください。

    横向きに寝る

    仰向けで寝ると舌根沈下や脂肪などで気道が圧迫されやすくなるため、就寝中は横向きになるように意識してみてください。枕を高くしたり、クッションを背中側においたりすると、意識がない間も横向きで寝やすくなりおすすめです。

    寝る前の飲酒を控える

    寝る前の飲酒もいびきの原因になる可能性があるため、できる限り控えましょう。アルコールの分解には多くの酸素が必要となり、呼吸が大きくなったり口呼吸になったりして、いびきをかきやすくなります。

    また、お酒には筋肉をゆるめる作用があり、舌や首周りの脂肪を支えられず気道が狭くなります。

    お酒の飲み過ぎはいびきのみでなく、健康や美容にも悪影響です。とくに、習慣的に寝る前に飲酒をしている方は、回数を減らしたり適量に抑えるなどの対策をしてみてください。

    体重管理をする

    肥満からいびきが気になる場合は、体重管理で改善できる可能性があります。まずは、自身の肥満度と適正体重を知り、ダイエットに取り組みましょう。

    肥満度の計算方法は次のとおりです。

    体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)=肥満度

    計算の結果が18.5〜25.0であれば標準ですが、25.0を超えると肥満になります。

    標準体重の計算方法は次のとおりです。

    身長(m)×身長(m)×22=標準体重(kg)
    例:1.60 × 1.60 × 22 = 56.32kg

    極度に痩せる必要はないため、標準体重を目指して少しずつ減量しましょう。

    自分に合った枕を使う

    いびき対策には、自身に合った枕を使うことも効果的です。適切な枕の高さは人によって異なり、自身にあっていないものを使用していると顎が引けて気道を圧迫します。

    首周りの脂肪が多いとより圧迫され、いびきをかきやすくなるため、枕は丁寧に選びましょう。

    枕選びのポイントは、使用時に目線が斜め下になる高さであることです。足元の方や真上に目線がいくものは、自身にあっていない可能性があります。

    自身に合うものを選びたい場合は、オーダーメイドの枕を購入するのもおすすめです。また、枕を使う際は、下側が肩に当たる位置になるように意識してみてください。

    部屋の湿度を保つ

    就寝時の鼻詰まりが気になる方は、部屋を快適な湿度に保ちましょう。部屋が乾燥すると、鼻の粘膜が腫れて鼻詰まりを起こしやすくなります。鼻がつまると口呼吸になり、喉が炎症して気道を圧迫することもあります。

    そのため、就寝時は加湿器や濡れタオルを置き、鼻が詰まりにくい湿度になるように調整してみてください。

    適切な湿度は55%〜60%で、温度は20℃〜24℃です。湿度を調整しても改善されない場合は、温かいタオルを鼻にあて、3分程度おくと血行が良くなり粘膜の腫れがひくためおすすめです。

    いびき防止グッズを活用する

    鼻詰まりや口呼吸がなおらない場合は、いびき防止グッズを活用するのもおすすめです。代表的ないびき防止グッズには、口が開かないようにするテープや、鼻腔を広げて鼻のとおりをよくする鼻腔拡張テープなどがあります。

    ほかにも、フェイスサポーターやナックピローのような、さまざまないびき防止グッズが販売されているため、自身に合ったものを選ぶとよいでしょう。

    いびき防止グッズはドラッグストアや通販でも購入が可能です。効率的にいびきを改善したい方は、ぜひ試してみてください。

    舌のトレーニング

    いびき対策には、舌のトレーニングもおすすめです。トレーニングで舌の筋肉を鍛えると、舌根が喉奥に落ちにくくなり、気道を確保できるようになります。

    とくに加齢によって舌の筋肉が衰えている方は、積極的に取り組んでみてください。舌だし運動のやり方は次のとおりです。

    1. あっかんべーをするように、舌を限界まで思いっきり突き出す
    2. 15秒間キープ×2回を、朝晩の2回おこなう

    毎日おこなうことで少しずつ筋肉がつくため、根気強く継続しましょう。

    いびきに効果のあるツボを押す

    ツボは体調改善に役立つとされており、いびきにも効果が期待できます。具体的には、上星(ジョウセイ)、迎香(げいこう)などのツボがあります。

    ・上星(ジョウセイ)

    上星は、血流を改善して鼻詰まりをよくし、いびき改善が期待できるツボです。

    顔の正中線上にあるおでこの生え際から、2cmほど上がったところにあります。気持ちよいと感じる程度の強さで、30〜60秒ほど押しましょう。

    ・迎香(げいこう)

    迎香は、小鼻の両脇にあるツボで、鼻のとおりをよくする効果が期待できます。小鼻の両脇を静かに3秒押して6秒休む流れを、3回ほど繰り返しましょう。

    鼻詰まりで口呼吸になる方は、ぜひ上記のツボを試してみてください。

    禁煙する

    習慣的にタバコを吸っている方には、禁煙もおすすめです。タバコの煙は、鼻やのどの粘膜を炎症させて腫れを引き起こすことがあります。腫れによって気道が圧迫されるため、タバコが習慣化している方はいびきをかきやすくなります。

    とくに、女性は男性に比べ、喫煙の影響を受けやすいといわれているため注意が必要です。いびきのみでなく健康や美容のためにも、禁煙に取り組みましょう。

    いびきの治療法

    自身の対策のみではいびきが改善できない場合や、病気が原因でいびきが出る場合は、クリニックでの治療がおすすめです。いびきには、次のような治療法があります。

    • CPAP治療
    • マウスピース
    • レーザー治療
    • 外的手術

    いびきの原因によって適した治療は異なります。それぞれ詳しく解説するので、いびきをきちんとなおしたい方はぜひチェックしてみてください。

    CPAP治療

    CPAP治療とは、睡眠時無呼吸症候群に用いられる治療法です。管のついた鼻マスクを装着し、鼻から空気圧を継続的に送り、気道を確保します。

    空気圧によって睡眠中に気道が圧迫されるのを防ぎ、無呼吸やいびきを防ぐことが可能です。睡眠時無呼吸症候群による、睡眠の質の低下も改善されるため、集中力の向上や疲労感の軽減が期待できます。

    鼻マスクを装着した状態で眠ることに違和感を感じる方もいますが、継続するうちに慣れていきます。いびきのみでなく無呼吸の症状がある方は、クリニックを受診しCPAP治療が適しているかどうなのか診断を受けましょう。

    マウスピース

    マウスピースは、就寝時に装着することで、下顎や舌が下がらないように固定し、気道を確保する治療法です。睡眠時無呼吸症候群の治療にも使用されており、CPAP治療よりも手軽に始められます。

    市販で購入できるマウスピースもありますが、自身の歯型に合ったものはクリニックでしか作れません。

    歯型があわないと十分な効果が得られないこともあり、しっかり治療したいのであればクリニックのマウスピースがおすすめです。

    ただし、歯の状態によっては適さない場合もあるため、まずは医師に相談してみてください。

    レーザー治療

    レーザー治療は、いびきの原因となる口蓋垂(のどちんこ)や軟口蓋など、呼吸の妨げとなる部分をレーザーで除去し気道を広げる治療法です。

    とくに、口蓋垂が大きい方や、軟口蓋が低い方はレーザー治療が検討されます。

    施術中は麻酔を使用するため痛みはなく、出血もありません。また、日帰りの施術になるため、長期的な休みが取れない方でも受けやすいでしょう。

    外科的手術

    外科的手術は、いびきの原因となる部位によってさまざまな術式があります。たとえば、アデノイドや扁桃肥大には摘出手術、口蓋垂と軟口蓋には切除術がおこなわれます。

    ただし、外科的手術は体への負担が大きく、合併症や再発などのリスクもあるため、医師と相談しながら検討が必要です。

    いびきに関するよくある質問

    ここでは、いびきに関するよくある質問を紹介します。クリニックでの治療を検討している方はぜひチェックしてみてください。

    いびき治療には何科を受診したらいいですか?

    いびき治療は、いびきの原因によって受診する診療科が異なります。たとえば、喉の腫れや鼻詰まりがある場合は耳鼻咽喉科です。

    肥満や睡眠時無呼吸症候群のような病気が疑われる場合は、内科(呼吸器科、循環器科)、睡眠外来で診療してもらえます。

    原因がわからない場合は、まず耳鼻咽喉科を受診し、必要に応じて別の診療科の医師を紹介してもらうとよいでしょう。

    いびき治療は保険適用ですか?

    いびきの症状に保険は適用されません。しかし、睡眠時無呼吸症候群や上気道抵抗症候群のような診断名が確定すると、保険適用で治療を受けられます。

    クリニックによっては保険適用になるように治療を提案するところもありますが、不安な方は事前に確認しておくとよいでしょう。

    まとめ

    女性のいびきの原因は人によって異なり、自身に合った方法で対策する必要があります。原因がわからない方も、次の対策はすぐに始められるため、改善できるか様子をみながら試してみるとよいでしょう。

    • 横向きに寝る
    • 寝る前の飲酒を控える
    • 体重管理をする
    • 自分に合った枕を使う
    • 部屋の湿度を保つ
    • いびき防止グッズを活用する
    • 舌のトレーニング
    • いびきに効果のあるツボを押す
    • 禁煙する

    ただし、病気が原因でいびきをかくこともあるため、無呼吸や喉の腫れなどの症状がある場合はクリニックを受診してみてください。